先週のこのコラムでは、頭力を強くするには体力の場合と同じ、できるかぎりその限界まで使うことが唯一無二の途だと記した。そして、仕事こそがそれに適う最高の場だと続けた。今週は、その場での「人・仕事関係」の有り様である。
□
私は、それではならぬと他者に説教までしながら、苦を避けて楽をしたがる一人だ。そんな私が組革研キャンパスリーダーになったのは32年まえ。役割の大概は、人と組織に対するマネジメントのまず実践、そして研究である。あたりまえのことだが人一倍、世上で言うところの勉強をせねばならぬ。自慢じゃないがその種の勉強嫌いだけは人後に落ちない。したがって、私にとってはなかなかの苦である。
そこで試みたのが、苦を何とか乗り切るための状況づくりであった。まずは鳥居坂にある国際文化会館の研究室に仕事部屋を移した。海外からの研究者や学者が集うここの研究室や図書室には、無言行のような勉強的空気が満ちている。数年間にわたってその中にどっぷりと浸かったお蔭で、私の勉強気は少しは体質化できたのであった。
体を使うのも苦であった。そこで大枚を叩いてスポーツクラブに入会。歩くのなら何処でもできるのに、時間と金を費やし、わざわざそこまで車で出かけてトレッドミルの上を歩く。ばかげた話だが、そこは運動的空気に支配されているので、誰もが自ずと動かずにはいられなくなってくるのだ。限界ちかくまでの負荷をかけて筋トレもやっている。それがボケの予防になると聞くからだ。
□
「人・仕事関係」の有り様こそが、頭力のup・downを分ける決定的な「場」なのである。その場を司っているのがリーダーだ。私の勉強気を引き出すための上記の状況化は、私にはリーダーがいないが故のものであった。
企業内組織には大勢のリーダーがいる。しかるに、このリーダーの多くが、部下の頭力をupさせるべく「人・仕事関係」を司っているとは、私にはとてもじゃないが思えない。それどころか、考えさせないことに懸命になっているかのようだ。飽くなく再三再四こう申すのは、だって、①部下の易き流れと闘わないんだもの。部下が嫌がるのを避けるのが人間らしいと思い込んでいるからだろう。だって、②全ては教え、説明し、指示し、世話をやく、で部下を動かそうとしているんだもの。そうしないと部下は動かないと思い込んでいるからであろう。この辺のところは、デイリ―メール「一歩踏み出した/企業の現場から」に明々白々だ。それでいて、部下を導く、育てるなどと口にするのである。
哲学無き人間観の氾濫が無念でならない。
只今、サイトの更新を一時停止しております。
改めて更新を再開する予定ですので、少々お待ち下さいませ。
どうぞ宜しくお願い致します。
対談 あなたの会社はなぜ『メンタル不調』者を量産してるの
著者:藤田英夫・𠮷野 聡 発行:シンポジオン 発売:三省堂書店/創英社
脱「三逆リーダー」
藤田 英夫 (著) 発行:ダイヤモンド社 発売:ダイヤモンド社
「個全システム」によるミーティング革新
藤田 英夫 (著) 発行:ダイヤモンド社 発売:ダイヤモンド社
不感症体質に挑む「人間力」全員経営
藤田 英夫 (編) 発行:シンポジオン 発売:創英社/三省堂書店
経営の創造
藤田 英夫 (編) 発行:シンポジオン 発売:創英社/三省堂書店
第3の組織論
小林 茂 (著) 発行:シンポジオン 発売:創英社/三省堂書店
人間力をフリーズさせているものの正体
藤田 英夫 (著) 発行:シンポジオン 発売:創英社/三省堂書店
人間力―そこにどう火を点けるか
藤田 英夫 (著) NTT出版
人を人として―指示待ち人間を目覚めさせるもの
藤田 英夫 (著) PHP研究所
「状況」が人を動かす―管理からリードへ
藤田 英夫 (著) 毎日新聞社
Copyright ©2018 MANAGEMENT CENTER Inc. All Right Reserved.