上の見出しは、ソニー創業者・井深 大さんの言である。世に言うところの「事業は人なり」をびしっと突いた究極の表現だと思う。今日発刊の『経営の創造/井深 大の語録100選』の中の一片なのだが、同書の中で井深さんは、その返す刀でのごとくこうも語っておられる。「どの企業でも『人間が大切だ』と盛んに言われますが、どのように大切なのかを、それほど分析して考えられてはいないような気がします。」
同感きわまりない。というのは、多くの企業の中の実体は「人間が大切だ」の対極、本当に人が大事にされているとは、私にはどう見ても思えないからである。人びとに宿っている「人間力」がフリーズされてしまっている、人びとに「自分力」を出させないで済まさせているからだ。
人びとをしてそうさせているものが、リーダーという人間の有り様①と管理というマネジメント②なのだ。この不可分の①②にかかわって、井深さんはさらにこう言っておられる。「人間づくりは、けっしてきれいごとではありません。私たちが全身で、体ごとぶつからなければ達成できない大事業です」と。
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今までにも繁く力説してきたことだが、今また改めて申したい。一般論としての①②の実体はどうなっているか。「全身で体ごとぶつかる」とは逆、「仕事満足」と「部下満足(自己実現)」のためのそれが「自分満足」のためのそれに摩り替えられてしまっているではないか。意図せずして無意識のうちにであろう。人間の通性かもしれぬが。
①について具体的にいえば、リーダーの自己防衛、何にもまして自分を安全地帯に巣くうっていることである。その典型的な一例が、部下に嫌われない、嫌がられない努力だ。②についていえば、教える、説明する、指示する、世話をやく、をやたらにやりたがることである。それがマネジメントだと、根っから思い込んでいるようだ。
まさに部下への非自主化努力。人びとは「自分力」を出さずとも事足り、済まされていく。人びとの「人間力」はフリーズされたままだ。部下を持つ多くのリーダーがここに陥っているのだ。それがどれほど企業競争力を落としているか、に目を覚ますことなく。
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