キャンパスリーダーの独り事

「自分力でやらせきる」  No.No.91

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 圡谷一郎さん(キリンビール取手工場副工場長)の先日(3月30日)のデイリーメール「一歩踏み出せた/企業の現場から」を改めて記したい。

  「私は部下に、品質保証の目標と課題を指し示すプログラムの作成を、任せていました。とは言いながら、重要な部分は具体的に指示していたのです。それがリーダーの務めだと思い込んでいたからです。だが、それこそが部下の成長を妨げていたのだと思い知らされることとなりました。組革研で、『部下をして、状況に直面させ、課題をやり切らせること』がリーダーの責務であることが、私の体に刺さったからです。
 職場に戻った私は部下に、『今までの延長線上にはしない』とだけ伝えました。ですが彼が最初に提出してきたものは、前年と同じにやっていれば到達できる目標設定にすぎませんでした。
 それからは毎週、もっとよくするには何をすべきかを、私は彼に迫り続けました。
 それを何度もくり返していると、ついに彼は、挑戦的な目標を考えるようになってきたのです。それは『製造ラインにも工程管理能力向上を求めながら、分析員業務を20%減らすオペレーションを達成する』という、私から見てもハードルの高いものでした。しかもそれは、自分だけで作ったものではなく、現場の人たちの意見を聞き、誰がいつまでに何をするのかを考えた具体的なものだったのです。
 このプログラムはすでに現場で実行されています。今までは自分の担当業務の目標達成しか考えていなかった彼の相談内容は、いつの間にか部署全体の達成のためのものに変わっていました。」

 今またくり返し記すが、リーダーのミッションは部下に「自分力でやらせきる」ことである。巷間でよく言われる「やらせる」は「他人力でやらせようとする」であって、両者の違いの原点は人間観にある。
 企業内の多くのリーダーのマネジメントは、後者のそればかりではないか。それも、たとえば部下に嫌われたくないなどの自己防衛意識によって生半可に終始しているようだ。組革研に現われる企業人の動きにはそれが見え見えだ。それでいて「部下を導く、育てる」をよく口にする。
 後者では「仕事品質」も「部下の自分実現」も共におぼつかない。圡谷さんは、このあまりにも重大かつ当然に気付かれた。圡谷さんに限らない。上記デイリーメールには、組革研体験者のそれが色濃く現われていると思う。

15.4.6.

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