組革研が細やかながらの出版活動を始めるべく、マネジメントセンターがごく小さな出版社に経営参加しました。
　シンポジオン( )という新発足の株式会社です。このような選択の背景には、以下の二つがあります。
　その一。組革研には、企業人の仕事観と人間観、直面して悩んでいる問題、なかなか解決できずに困っていること等が持ち込まれてまいります。即ち、企業内のその時々の実態が生々しく現われてくるのです。炙り出されてくると言うべきかもしれません。
　創設後４４年にわたるそのような問題、あるいはそれにかかわる改革の中身が、これまではほとんど開示されないまま今日に至っております。企業人にとっての研究材料となるべく、それが許されるところをたとえ少しでも公開していきたいと考えたわけです。
　その二。今日の出版業界は、きわめて不健全な状態にあると言わねばなりません。”川上”段階で言えば、「ジャーナリズム魂よいずこへ」と言いたくなるような編集者が闊歩しております。私が若年のころ勉強していた状態から様変わりしてしまいました。編集を外注している出版社さえ散見されます。”川下”段階で言えば、書店の多くはただの「場所貸業」に変身しているかのようです。かつての書店主には、本の内容について一家言を持っている人が少なからずおりました。”川中”段階申すに及ばず。出版不況は人びとの活字離れだけが原因ではないと断言したくなります。
　このような中で、平均すると毎日２２６もの新刊が発行されているそうです。自転車操業に落ち入ってしまっている出版社も少なくないようです。
　組革研がこのような出版業界の状態にすっぽりと嵌り込んでそれに縛られるのを和らげるべく、上記の選択にいたったのであります。