今年のＮＨＫ大河ドラマは「花燃ゆ」だ。面白いとは思わぬが、たまたまそれ＊１を晩酌の供にしていたら、吉田松陰のこんな言葉が出てきた。わずか３畳半の生まれたての昼夜を問わない松下村塾に、数人の百姓、町人の若ものが、立身出世を夢見、学問を求めて集まっている。その門弟の何人かが、「江戸に行って新しい知識や学問を学びたい」と言い出した。それに対する松陰の応えである。（もちろんこれは史実であるかどうかはわからない。）
　「なぜ学ぶのか。君の『志』じゃ。今この場所で己を突きつめ、志を見つけられん者が、他国へ行って何ができるのじゃ。」
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　かつて４、５０年まえのころ、小林先生＊２からよく聞かされた言葉が頭を過った。「志が低いねぇ……」などと。毎々のことなので、周囲は聞き流すかのように反応していた。「また志云々かよぉ……」などと。私もその一人であったと言わねばならない。
　しかし今、この言葉が妙に頭から離れないでいる。私が幼いころ父親がよく口ずさんでいた唱歌「志を果たしていつの日にか……」が想い浮かんできてならない。この社会の現状の所為（せい）であろうか。それとも私の歳の所為であろうか。
　＊１　001CH.15.3.8.
　＊２　組革研の初代キャンパスリーダー、ソニーの元厚木工場長