働き方改革の核心

脱却の途に就いたリーダー20人による成果のワンポイント


この「三逆リーダー」からの脱却の途に就いた企業内リーダー20人による成果のワンポイントは、電話でのインタビューの抄録です。


 

                                                    
マツダ
ドライブトレイン開発部グループマネージャー・丸末敏久

 
 ターゲットだけ示し、手段は部下に考えさせる。手助けは止め、どうしたらよいか相談があってもまずは自分で考えさせてきた。部下たちにとっては苦しかったらしく、当初は反発もあった。それでも、自分で考えることに慣れて、それが当りまえの職場になってきつつある。
 問題に直面することで仕事が自分事になり、大変だけど何としてもやり遂げるようになってきている。自分たちで考え抜き、一人ひとりが周囲を巻き込みながら個の力で技術を積み上げている。
 私が知らないことを、部下が知っていて、ああそんなこともできるんだと感心することがある。組織としての技術力が上がっている。

 


 

キリンビール 関東甲信越統括本部群馬支社
支社長・小林直人

 
 以前は、言われたことをやるだけ、ミーティングは上司が開催するものという職場の雰囲気だった。
 今「新しいビール文化」をつくるという大きな方針が出されている。
 方針に沿って、私が指示しなくてもメンバーどうしで情報の共有や支社全体の進捗を確認し、自分たちで考えてすすめるということができ始めている。

 


 

住友ゴム工業 白河工場
製造第四課長・元上文信

 
 一番変わったと目に付くことは、現場で何が起こっているかを自分の目で見にいくようになったということです。そして、こちらから根掘り葉掘り聞くまえに、「こういうことが起こっているので、打ち手としてこういうことを考えている」というような深掘りした報告、さらにその確証を得るためのテストをしたいという提案をしてくるようになってきたことです。

 


 

日本通運 鳥取支店
物流センター事業所所長・河上泰昭

 
 自分からは大きな目標を示すだけで、あとは一人ひとりが自分の持ち場で、自分の仕事を通じて、目標を達成するために何をしなければならないかを考えて実行し、確実に目標を達成している。
 私自身は倉庫業務を知らなかったので、指示は一切出さず、赤字であることを示し、職場を細分化し、それぞれの業績を見える化した。頑張れば頑張っただけ、数字に現れてくる。
 部下たちは状況に応じて営業に出ていく。配車もその都度どうやったら効率的に物を運べるかを考える。現場の作業者も、どうやったら効率的に倉庫に収められるかを考える。全員が自分の持ち場でどうやれば収益が上がるのかを考えて工夫を続けている。
 このやりかたに変えたところ、10年以上赤字だった倉庫部門が不思議なことに一年くらいで黒字になり、今も黒字が続いている。

 


 

マツダ
車両実研部アシスタントマネージャー・中本尊元

 
 口出しを止めた当初は、「どうしてなんですか」と不満そうな部下もいた。以前なら、「まあそう言わずに」と懐柔したところだが、今は「それは違うよ。あなたもプロなら期待される役目を果たして」と突き放している。
 しばらくすると、「こういうことではないですか」と私が思ってもいなかった案を持ってきた部下が現れ、驚かされました。自分で仕事をすすめるようになっただけでなく、社内関係部署や原料メーカーとの調整も以前なら私を頼っていたのに、今は自分でどんどんすすめています。みんな以前よりも深い考察ができるようになり、技術力はたしかに上がっていると思います。
 まだまだいけると思っています。もっとレベルの高いタスクを彼らに与えなければと思っています。

 


 

横浜ゴム 平塚製造所
タイヤ直需技術部部長・斉藤英司

 
 世話やきを止めたら、いっ時は返ってくるものが目減りしたが、時間、機会が増えるにつれて以前よりも増えてきた。指示を出していたときは、五聞けば五しか返ってこなかったが、今ではそれが六、七になって返ってくる。部下がいろいろと考えているからだろうなあと思っている。
 部下から提出された資料を見て、ああそこまで見てるのか、このレポートはこんなふうになるのかという印象を受けている。

 


 

三菱重工業 パワードメイン原子力事業部
品質保証部原子力サービス品質管理課主席技師・木下智博

 
 「組革研」に「リーダー参加」した後、私は部下たちには目的を正しく把握しておれば手段は自由と伝え、口出しはできるだけしないようにしてきました。
 彼らが仕事をやりきった時には「ありがとう」と感謝の意を表し、一方でやりきっていなかったり手抜きを感じたときには、「それでいいのか」、「君は納得しているのか」と強く問いかけ続けてきました。
 内部監査の受審準備を始めた部下から、事前に内容確認してほしいと頼まれ、内容を聞くと一生懸命考えたことがわかります。集めた資料から導き出した自分なりの考えがしっかりと入っているのです。さまざまな視点からの質問にも明解な答えが返ってきます。監査を受ける当日、私は不在でしたがなんの問題もありませんでした。
 監査終了後、例年であれば使用したドキュメントをファイルして終わりです。ところが彼は、「これまでの説明の経緯のまとめ」「用意したエビデンス」など、今年の結果が来年の監査に生かせるようなまとめまでしてくれたのです。そこまで求めていなかった私は、思わず「お前すごいな」と言ってしまいました。

 


 

キリングループロジスティクス 九州支社
営業部部長・川上勉

 
 今では、まず部下が企画とか叩き台を作って、上げてきます。以前はこちらが叩き台を作って投げていました。
 私たち物流関係は、昨今の運転手不足など、今までと比べものにならない厳しい状況です。
 しかし部下は、取引先のリストアップから訪問計画の立案までやって、それを確実につぶしていくということをしてくれています。自分たちで考えて動くようになってきました。

 


 

三井E&S造船
艦船設計部船装設計課主管・小丸真一郎

 
 しばらくすると彼らは、年間に取り組んでいる仕事を個人ベースまで落とし込み、改めて一人ひとりがやり切る目標を立てていきました。
 さらにその後はグループ長が中心になって、遅れが出てきたプロジェクトには他から応援を出したりスケジュールを細かく見直したりして、一人ひとりが全体状況を意識するようになりました。
 その変化は、他のプロジェクトの中身にも拡がっていきました。自分の担当以外のプロジェクトに対しても考えをぶつけていくようになったのです。
彼らを動かしているのはグループ全体の目標達成という思いです。
 やらねばいけないのにできていないことをお互いが指摘し合い、同世代どうしが結果を競い合っていくなど、これまでには見られなかった状態が生まれてきました。

 


 

日本たばこ産業 東関東支社
環境推進室室長・江井康胤

 
 どこに向かっているのか、「対象」のために何をしようとしているのかを意識させ続け、「無理だ、厳しい、やりたくない」は言わせなかった。
 部下たちの動きは生き生きしたものになり、目標利益を上回る成果を出した。特にトライしたメンバーの成果は顕著に出た。仕事と向き合ううえで、自分がどうしたいのかが一番大事だということに気づいてくれたことが一番大きい。

 


 

マツダ
衝突性能開発部主幹・豊原和也

 
 以前は全体の戦略を考えてすすめるというような仕事は彼らには難しいので、自分ですすめていた。
 彼らにこれを任せてみたところ、なかなかいい感じにまとめてくれた。これが日常の仕事にも繋がって、より広い視野ですすめるようになってきました。

 


 

マツダE&T
車載設計グループ主任 森大輔

 
 開発という仕事の性格上、どれくらいの効果があったかということをバシッと出すことは難しいが、行動面では明らかに変わってきている。
 開発では自分で課題を見つけ出して解決しないといけないが、以前はこれをリーダー主導で行っていた。今は、メンバーたちが自分で課題を見つけてこれに取り組むようになっている。

 


 

三井E&S造船 製造本部玉野艦船工場
艦船建造部外業・塗装課課長補佐・岡田直洋

 
 過去には引き継ぎ期間を1~2年取ってもうまく引き継ぎができなかった。一から十まで、まるで私のクローンを作るかのように、メール一本から仕事の内容を説明していた。それを、資料を渡して最低限の説明だけにしたら、部下が自分で調べて仕事を覚え、半年で完璧な引き継ぎができてしまった。
 また以前は、問題が発生すれば私がみんなを集めて会議を開いたりしていたのが、今は部下が自ら会議を招集したり、関係部署と話をしたりするようになっている。

 


 

NSK富山
生産計画部部長・渋谷充

 
 組革研から戻り、「指示はしない」と宣言し、相談に来ても、自分の考えを持ってこなければ「君はどう考えるのか」と聞いて受け付けなかった。
 以前は、何かあれば「どうしましょうか」と部下はすぐ答を聞きにきたが、相談にくるときには必ず自分なりの考えを持ってくるようになり、自分たちで判断できることはいちいち私に聞くこともなくすすめるようになってきている。

 


 

ブリヂストンサイクル
ソリューション戦略部マス・リテール営業課長・岡田哲也

 
 指示を止めたら、どんどん自分から聞いてすすめる人と、より動きが鈍くなっている人に分かれてしまいました。
 自分からすすめているメンバーは、クレームなどで以前なら上司に聞いて済ませていたことを設計部署へ行って担当者に詳しく話を聞くようになり、一気に知識も増えました。
またそれをメンバーどうしで教え合ったりして解決するようにもなってきています。動きがまだ鈍いメンバーにどうするかを悩んでいます。

 


 

三井造船特機エンジニアリング
設計事業部産業機械課回転機グループ課長補佐・松山則昭

 
 でき上がったものに不具合があっても、以前なら受け取って私が修正していたが、だめなものは突き返して自分で最後までやらせるようにした。
 現在は自分で過去の図面、資料などを調べて、自分なりの結論を出してから相談にくるようになった。また、自分の図面に対してやりっぱなしでなく、責任感も少しずつ持つようになってきている。

 


 

旭化成ファーマ 医薬生産センター
医薬生産管理部製剤技術グループ・小島淳

 
 以前は単純に「どうしますか」だったのが、自分の考えを持ってくるようになりました。
 今は、最終納期だけを伝えてあとは全部任せているという状態になっています。資材を発注するタイミングも、部下が判断してます。
 それでなんの問題もなくすすんでいます。

 


 

キリングループロジスティクス 西日本支社京滋支店
物流管理部部長補佐・加藤康仁

 
 以前は現場でトラブルがあっても、その対応はリーダーの仕事と考えているのか、部下たちはその状況を私に報告するとそれで終わり。あとは私にお任せでした。
 現在は、まず自分たちが直接現場に行って何が起きたのかをよく見て、委託元の工場とも話をしてどうしようかを考えたうえで、私に報告にくるようになってきました。

 


 

富士フイルム静岡
X―ray材料生産部第二加工課第二係係長・菅原康徳

 
 「組革研」で、これでは部下は、自分で考えることを止めてしまうということを知った。
 そのとおり動いてみると、人の動きが変わってくるということを実感した。一人ひとりが自分の仕事の幅を拡げて取り組んでくれ、全く問題はない。
 今では、私の出番はほとんどない。

 


 

リコー CIP開発本部機能材料開発センター
第二開発室室長・安永英明

 
 特別なお金がかかるときに相談があるくらいで、あとは全面的に自分たちで仕事をしています。報告もきちんとあります。
 その部下の一人に今年配属された新人の育成を任せたところ、指示も世話やきもせず技術課題に取り組ませました。
 新人が取り組んだ課題は、過去に二人の先輩が「この装置は使えない」という結論を出していたのですが、それを覆して「この装置は使える」という結果を出しました。大きな成果なので、本部で1000人ほどの前で発表することになりました。
 今までの自分には、新人は何も知らないし、何もできないという思い込みがあったのですが、これを完全にひっくり返されてしまいました。
 直属部下へのマネジメントが、その下にも繋がっていくことに驚いています。

 

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