キャンパスリーダーの独り事

まともな 「仕事観」に目覚めて  No.208

208CL.jpg  誰もが自己実現を目指して、日々それなりに頑張っているのだと察する。 ところが、人びとのその頑張りを狂わせている三つの途方もなく大きな “常識” が世を覆っているのである。 「仕事観」 「人間観」 「教育観」がそれだ。
  今回は 「仕事観」をめぐって記してみたい。

  以下に紹介するのは、組革研でまともな仕事観に目覚めた喜多川智一さん(マツダNVH性能開発部)が、先日の 「組革研デイリーメール」に寄稿されたものである。

  他への貢献を目指し、それに全力投球することで自らの充実感が得られる。 忘れていた仕事観を組革研で思い出しました。 そのきっかけは4日目、かつてのソニー厚木工場で、トイレ掃除をしていたおばさんが当時をふり返って語った 「あれは夢だったのかもしれない」のひと言でした。
  自分も仕事にもっと夢を持ちたい、社会に貢献している喜びを感じたい、そう思いました。 そのとき浮かんできたのは、それとは真逆の職場での姿。
  私は車両設計における机上シミュレーションのモデル化、解析の技術開発に携わっています。 ほとんどの時間はパソコンに向かう毎日。 画面上だけで試行錯誤をくり返し、このままで本当に良い結果が出るのかという不安さえ感じていました。
  組革研を体験し、自分が間違っていたことを確信しました。 設計や生産現場、シミュレーション後の実物テスト、車の使用現場を見ることが少なかったのです。 「対象」を明らかにする、わかっていない事実に迫っていく思いが非常に足りなかったことを思い知らされたのです。
  「対象」に意識が向いていないからミーティングが活発にならない、夢がないからわかっている範囲から脱け出せない。 なぜ、何で? と目に付くもの全てが興味に繋がり、夢中になっていた子どもの頃の素直さに戻らなければ……。
  職場で 「対象を明らかに」という発言が飛び交うようになり、紙に書いたそれを 「一覧一望」するようになってから、事故の再発防止活動の取組みでは、少しずつ、見えていない事実に迫っていこうという動きが見えてきたように感じています。
  これからは未知の領域へチャレンジする職場を目指していきます。

  組革研は、小林茂 (かつてのソニーの常務取締役)を初代キャンパスリーダーとし、氏による同社厚木工場での人と組織の一大変革の巨歩を “種火” とし、同時にそれを叩き台として、さらに普遍の途を求めて創立されたのであった。
  上の引用文中の 「あれは夢だったのかもしれない」は、厚木工場の変革途上でのトイレ掃除のおばさんが、その4、50年後に、当時を思い出して口にしたものである。 工場に早く出かけたくて気がせく毎朝であったそうだ。
  ついでに記す。 半年ほど前のテレビ東京の 『開運! なんでも鑑定団』に、今は介護ボランティアに従事する72歳のおばさんが登場した。 画面にはなぜか 「ソニー厚木工場」の文字がでかでかと出た。 お宝はソニー坊やの人形。 司会者の指値はいくらですか? に応えて、 「値段はどうでもいいんです。 ソニー、エスオーエヌワイで働いていたということが、私にとっての誇りなんです」とズバリと言い放った。 東北地方から “就職列車” に乗ってこの工場に集団就職してきた、かつてのかわいかった女の子の今に違いない。
  なんと素晴しい人生を過ごした人たちであろうか。

  私は、 「仕事」は人生そのものだと断言する。 その大部分ではないが一部などという小さなものではない。 なにしろほとんどの人びとにとって、就業年齢は人生の充実期の全部ではないか。 しかも毎日の、生理活動を除けばその大部分ではないか。
  だが、 「ライフ・ワーク・バランス」などという “常識” が世間を覆っているのだ。 私生活と仕事のバランスは元より大事だ。 しかしこの言い回しには、人生と仕事が対立関係にあるかのようなニュアンスがありはしないか。
  さらに加えて昨今、 「働き方改革」なるキャンペーンがやたらと目に付く。 その中味といえば働く時間のことばかりだ。 そんな程度のことを改革というのか。
  働き方の 「改革」とは、働き方の質、即ち 「一人ひとりの仕事への向き合いかた」の改革であってほしい。 私はそれを 「人・仕事関係」と表現して、組革研で実践している。

17.10.24.

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