仕事の状況は、たえず変化し、いろいろな外形を装って問題となって現れてくる。 思ったよりもうまくいっていることもあろうが、乱れも生じるし、うまくないことも多々起きてくる。
その、乱れたりうまくいってない状況こそ、より生々しく迫ってきて、人びとに強い相互作用をもたらすのだ。
革新の発想はうまくいっているときには起きにくい。 うまくいっていないからこそ、それを何とかせねばとなって、人間力がより発揮されざるをえなくなるからである。
ということは、うまくいっている時のほうが怖いということだ。 やがてうまくいかなくなることを約束しているようなものだから。
もっと怖いのは、うまくいっていないのに、その状況を見過ごしてしまっていることだ。 問題があるのに、それを見ることができないでいる状態である。 これが案外に多いのではなかろうか。 あっと気がついたときには、すでにかなりの重症になっていたりする。
ということは、うまくいっている、いっていないは、認識の問題であって実態ではない、ということだ。 そう考えると、うまくいっているときへの対応の手がかりもわかってくる。
その簡単な手立ては、仕事の先端の部下の実態を、自分の目でじかに見て回ることだ。 必ずといっていいほど、乱れや、うまくいっていないと見える事がら、あるいは意外な事実に出会うに違いない。
もっと本格的には、第一は、状況を自分に都合よく見ないことだが、それは言うべくしてむずかしい。 そこで第二に、同じ状況をうまくないと思えるような新しい物指しを用意すること、すなわち、より挑戦的な目標や課題を掲げること、そして第三に、小さな問題を見つけて大きくしてみることである。
要は、少しうまくいっていない状態、あるいはままならない問題を抱えている状態がいちばん都合がよいということだ。
組革研で私は、ブロックあるいはチームでトラブルが起きると、そこに関してはまず一安心ということになる。 毎回のことだが、そのようなブロックやチームは、必ずといっていいほど、後のち素晴らしくなっている。
うまくいかないから、うまくいく、のである。
(『状況が人を動かす』第五章より抜粋、少し加筆)
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